こんな先生が教えています
私はテレビの構成作家という仕事もしています。
自分の仕事を他人に伝えるとえーすごい〜!って言われがちで、なんとも居心地が悪い思いをします…。多分みんなは「構成作家」というと、芸人さんがたくさん出演するバラエティ番組を作ってたりする人であったり、ドラマの脚本を書いていたりする人をイメージするのだろうけれど、私がやっているのはまたちょっと違って。
私の主な仕事はリサーチと言って、情報番組などで取材する人や店の下調べをすることです。
ネット記事や電話取材、実際に訪れてその対象について調べて、ディレクターに資料を提出。それをどう組み合わせたらいいか相談し、台本を書くのがメインの仕事です。だから発想力とか才能とかいうものよりも、ひたすらネットや本を調べ倒す根気強さと、電話取材でいかに人から話を聞き出すかというしつこさが必要な仕事です。その担当ディレクターがどんな素材でどんなVTRを撮りたいのか、話し合いながら調べ、その素材をどうやって面白く伝えるのか、一緒に組み立ていきます。
実は作文教室の生徒さんにも、ディレクターに対すると同じ作業をして作文を書いてもらいます。
誰の中にも言いたいことや考えていることが眠っています。その考えている事をおしゃべりをしながらネタを引き出して、そのネタを文章にするべく構成を一緒に考えて組み立てていきます。
多くの生徒さんはこの組み立てる作業がうまくできません。
例えば、読書感想文にしても、その本を読んで何も思わないなんてことはあまりありません。たとえ面白くない本だったとしても、どこか面白くなかったか、どうしたらもっと面白くなるのか、主人公のどこに感情移入できなかったか、いっぱい悪口は言えると思います。その悪口を上手に組み立てて構成をして書けば、とても読み応えのある感想文になるのです。
ちなみに読書感想文の授業の時は、私もその本を一緒に読んで感想を言い合います。一緒に意見をわあわあと言い合っていると、「書くことないわ〜」と思っていた本でも意外にあれやこれやとネタが出てくるものです。
Zoomのオンラインでも授業は可能です!気軽にお声がけください!
教室を始めたワケ
うちには3人子どもがいます。
高1男、小6女、小3女の兄妹で、全員が家にいた夏休み、私は大体いつも白目をむいてましたね。人口密度高いし、食べまくるし、うるさいし…。
まあそれは置いておいて。
教室を立ち上げようと思ったのは、長男の推薦入試の小論文を読んだのがきっかけでした。下書きの段階で「これどう思う?」って持ってきたんですが
…どう思うもこう思うもないわ。
お題に対しての答えも書かれてないし、論旨は一貫してないし、お前は一体何が言いたいんや!と思いました。ただ行を埋めただけやんけ!と。
私は自分が文章を書く仕事をしているので、あまり子どもの作文には口出しをしないようにしていました。理由は感情的になってしまうとか、手直ししすぎてしまうとか、めんどくさいとか色々あるんですが。
まあこんな文章でも先生が指導してくれたらなんとかなるやろと思って、「先生にチェックしてもらってこい」って突き返したら、「先生はあんまり読んでくれない」と言うんです。は?と思ってよく聞いたら、ちょっとだけ文末に感想を書いてくれるけど、特にどこをどうしろとか具体的には教えてもらえないと。
じゃあこの小論文のまま受験するのか?そんなん絶対落ちるやん。
私は仕事で培った文章のワザを長男に教えることにしました。問題の捉え方から構成の立て方、人を惹きつけるワード、展開の仕方など叩き込みました。その甲斐あってか、なんとか合格しました。しんど。
しかし私の頭の中は疑問でいっぱいでした。
うちの子だけじゃないかもしれない。ひょっとしたら多くのお子さんが文章を書くのに四苦八苦してるんじゃないか、と。学校の先生は、他の授業で手いっぱいで作文の指導まで時間が割けないという現実。
YouTubeをはじめとするネット動画全盛の今、文字離れはぐんぐん進んでいる。家で本を読んだり新聞を読んだりする事も減っている、その状況で学校で文章を書く技術を教えてもらえてないなら、文章を書く事がうまくなるはずがない。
それでも作文の宿題はかなり出されている様子です。「何を書いたらいいのか…」困っている子どもたちはたくさんいるだろうなと思いました。作文って本当は楽しいもののはずなのに、とにかく書けと強制され、大嫌いになる子どもも多くいるだろと思いました。
おしゃべりって楽しいじゃないですか。
みんなで集まってウダウダ言い合うのは楽しい。本当は文章を書くって、おしゃべりの延長に過ぎません。ただ、内容を読みやすく分かりやすく伝える、ちょっとした工夫さえ習得できれば、もっと楽しく色々なことを書けるようになるんです。
そんなわけで仕事が少し暇になった2022年の春。
ゆるくやってみようかな〜と、教室はスタートしました。